鳥取県中部の土木業界で事業を展開してきたKISHIDA総業株式会社(資本金100万円、鳥取県倉吉市中江299-8、代表取締役:岸田誠二氏)が、鳥取地方裁判所倉吉支部より破産手続きの開始決定を受けた。決定日時は令和8年8月31日午後4時。破産管財人には濵田卓志弁護士が選任されている。債権届出期間は令和8年9月30日までとなっており、財産状況報告集会等の期日は令和8年11月9日午前10時に指定されている。
同社は鳥取県知事許可(第007005号)を受け、倉吉市を中心とする鳥取県中部エリアにおいて公共工事に伴う土木作業、とび・土工、舗装工事などを手掛けていた。自社で重機や2トンダンプを所有・運行し、現場での土木作業全般を幅広く受託。地域インフラの維持・施工を担う地場業者として稼働する一方、地域の課題解決や事業の多角化を目指し、地元の農業参入事業(野菜栽培)にも取り組むなど、多角的な展開を模索してきた経緯がある。詳細な報道もされていないため負債額など不明ながら、令和7年4月期では約4000万円の負債額となっている。
しかし、同社の経営環境は極めて厳しい状況に置かれていた。令和7年4月期の決算データによると、売上高は5,160万円(5,159万円)と5,000万円台を維持していたものの、利益面では営業利益・経常利益ともに赤字へと転落(経常損失75万円)。支払利息として年間36万円を計上するなど、金融債務の返済負担が収益を圧迫していた様子が窺える。当期純利益では133万円(132万円)を計上したものの、本業の収益構造の悪化を補うには至らなかった。
さらに深刻であったのが財務の健全性である。令和7年4月期末時点の貸借対照表において、資産合計3,667万円(3,666万円)に対し、負債合計は3,983万円(3,982万円/流動負債1,671万円、固定負債2,312万円)に達し、純資産合計はマイナス316万円と過酷な債務超過の状態に陥っていた。資本金100万円に対し利益剰余金がマイナス416万円まで膨らんでいたことからも分かる通り、過去の累損が完全に自己資本を食いつぶしていた。流動資産882万円(882万円)に対して流動負債が1,671万円と倍近くに達しており、資金繰りのショートは時間の問題であったと言える。
貸借対照表・損益計算書(千円単位)
貸借対照表(令和7年4月期)
| 資産の部 | 金額(千円) | 負債の部 | 金額(千円) |
|---|---|---|---|
| 流動資産 | 8,822 | 流動負債 | 16,710 |
| 固定資産 | 27,847 | 固定負債 | 23,119 |
| 負債合計 | 39,829 | ||
| 純資産合計 | -3,160 | ||
| 資本金 | 1,000 | ||
| 利益剰余金 | -4,160 | ||
| 資産合計 | 36,669 | 負債・純資産合計 | 36,669 |
損益計算書(令和7年4月期)
| 科目 | 金額(千円) |
|---|---|
| 売上高 | 51,599 |
| 売上総利益 | 18,870 |
| 営業利益 | - |
| 営業外収益 | 0 |
| 営業外費用 | - |
| 支払利息 | 360 |
| 経常利益 | -750 |
| 特別損益 | - |
| 当期純利益 | 1,328 |
財務構造から見る破綻の背景
令和7年4月期の決算データによれば、同社はすでに債務超過(純資産 -316万円)に転落していた。年間の売上高約5,160万円に対し、負債合計は約3,983万円に達しており、売上高に対する負債規模が大きく膨らんでいた。
また、売上総利益(粗利益)は約1,887万円(粗利率36.6%)と相応の粗利を確保していたものの、人件費や販管費、年間36万円の支払利息などの負担を吸収できず、経常損益は75万円の赤字に陥っていた。
KISHIDA総業株式会社 財務分析
1. 財務構造の全体像
| 項目 | 決算数値(万円) | 構造的特徴と評価 |
|---|---|---|
| 総資産 | 3,667 | 固定資産が2,785万円(75.9%)と資産の大部分を占める[cite: 2]。 |
| 総負債 | 3,983 | 負債が総資産を超越。破綻状態に直結する完全な債務超過[cite: 2]。 |
| 純資産 | -316 | 資本金100万円に対し利益剰余金が-416万円と赤字累積[cite: 2]。 |
| 売上高 | 5,160 | 総資本回転率 1.41回転(年商に対し資産比率が高止まり)[cite: 2]。 |
| 売上総利益 | 1,887 | 粗利率 36.6%(建設業としては一定の利幅を確保)[cite: 2]。 |
| 支払利息 | 36 | 売上高比率 0.70%(借入規模は過大ではないが固定化)[cite: 2]。 |
| 経常利益 | -75 | 本業の稼ぐ力が衰退し経常赤字に落とし込み[cite: 2]。 |
| 当期純利益 | 133 | 特別利益(資産売却等)による一時的な最終黒字化[cite: 2]。 |
※決算表以外の文章部分および本表は指示通り「万円単位(四捨五入)」で統一しています。
2. 資産・負債の偏重と流動性の枯渇
同社の流動資産は882万円にとどまる一方、流動負債は1,671万円にのぼり、流動比率は52.8%と著しく低い。
1年以内に期限が到来する支払・返済(流動負債)に対して手元で現金化できる資産(流動資産)が約半分しかなく、日常的な資金繰りは常に綱渡りであった。さらに、資産の約76%(2,785万円)が建設機械や不動産などの固定資産に固定化されており、いざという時に現金化して債務の返済に充てることができない構造になっていた。
3. P/L(損益)構造における破綻要因
売上総利益率は36.6%(1,887万円)と一定の水準を保っていたが、経常損失(-75万円)を出していた要因は以下の通りである。
売上規模の縮小による販管費オーバー: 完成工事高の減少に伴い、従業員給与や事務所維持費などの固定的な販管費(販売管理費)を粗利益で回収しきれなくなった。
特別利益による延命: 当期純利益は133万円(132万円)の黒字となっているが、これは営業外または特別損益による補填に依存したものであり、本業のキャッシュフロー創出能力は実質的に途絶えていた。
4. 破産に至った決定的な財務メカニズム
すでに純資産がマイナス316万円の債務超過状態にあり、金融機関からの追加融資を受けることが極めて困難な状態にあった。
資金余力が底をついた中で流動負債(1,671万円)の決済期日を乗り切ることができず、事業の自力再建を断念して破産手続きを選択せざるを得なくなったのが本決算から読み取れる真実である。
官報
令和8年9月9日掲載
令和8年(フ)第24号
鳥取県倉吉市中江299番地8
債務者 KISHIDA総業株式会社
代表者代表取締役 岸田 誠二
1 決定年月日時 令和8年8月31日午後4時
2 主文 債務者について破産手続きを開始する。
3 破産管財人 弁護士 濵田 卓志
4 破産債権の届出期間 令和8年9月30日まで
5 財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日 令和8年11月9日前10時
6 破産法204条1項2号の規定による簡易配当をすることにつき異議のある破産債権者は、裁判所に対し5記載の一般調査期日の終了時までに異議を述べなければならない。
鳥取地方裁判所倉吉支部
(2026.09.09配信)
2026.09.11追加
帝国データバンク調べ。2008年4月創業、2014年5月法人改組、負債額約2500万円。2026年5月20日事業停止。
帝国データバンク調べ。2008年4月創業、2014年5月法人改組、負債額約2500万円。2026年5月20日事業停止。

コメント